ある不妊女性のエピソード
ある女性は20代後半で結婚し、30歳前後に妊娠・出産できれば
いいと気軽に考えていました。まさか自分が妊娠しにくい体だ
とは思いもしなかった彼女は、30歳を過ぎてさすがに不安を感
じ、不妊診療科を訪ねることになりますが、それが辛く長い不
妊治療の始まりだったのです。肉体的、精神的にも苦痛を伴う
治療に耐え、祈るような気持ちで日々を過ごしても、毎月生理
が始まってしまうと身の置き所のない落胆に襲われ、夫との夫
婦生活も次第に子作りのためだけの義務と化していったそうです。
ゴールの見えない治療、重くのしかかる費用、主治医との相性
や信頼にも疑問が生じ、病院を替えてはまた一から検査の繰り
返し・・・。4回の転院を数える頃には、40歳を目前にしてほ
とんど絶望的な気持ちになっていたといいます。夫は常に協力
的で彼女を労わってくれましたが、それだけに夫に申し訳ない
という気持ちが募る一方、また度重なる通院のために仕事も辞
めざるを得なくなりました。全てを犠牲にしてまでこれ以上治
療を続けるかという決断の時を感じた彼女は、とうとう10年以
上に及ぶ不妊治療を中断する決心をしました。その翌月、奇跡
のように自然妊娠、そして出産に至った彼女は、ただひたすら
生命の神秘を感じたそうです。
このように、長く辛い治療を続けても妊娠することができず、
精神的肉体的に疲れきって治療を中断した途端に妊娠したとい
う話は非常によく聞くエピソードです。生殖医療と神の領域が
議論される昨今ですが、やはり生命の誕生には尋常ならざる力
を感じずにはいられません。
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