不妊を越えて
現代不妊に悩むカップルは、いまや10組に1組とも言われていま
す。その背景や事情も十人十色、一口に不妊治療と言っても、
全ての患者がそれぞれの思いを抱えて治療にあたっているのです。
愛する夫の子どもが欲しいから、両親に孫の顔を見せてやりたいか
ら、一人っ子ではかわいそうなので兄弟を作ってやりたい・・・
様々な理由で不妊治療に励む人が多い一方で、治療に伴う各種の弊
害も経験者の口から多く聞かれます。たとえば、不妊治療は大概の
場合、女性側に検査や治療の負担が重くなりますが、それを支える
夫の理解と協力が不可欠です。夫が非協力的だったり妻のフォロー
を怠っているたりしていると、夫婦のかすがいを求めて始めたはず
の不妊治療が夫婦の亀裂を生じさせる結果になることも珍しくあり
ません。
逆に、夫が深い愛情で妻を支え、協力を惜しまず常に見守っていれ
ば、妻の精神的負担は飛躍的に軽減します。ある女性のエピソード
ですが、ある日の通院の道すがら、長年耐えてきた不安と苦悩にと
うとう限界を感じ、道端で泣きながら夫に電話をすると「もういか
ら帰っておいで」と言われたそうです。妻はこの言葉がなかったら
いつか離婚していたかもしれない、と後に語っています。
不妊治療は辛く長いトンネル。その先に、赤ちゃんという光が待っ
ているか、努力が報われずに終わるかは誰にもわかりません。
しかし、ともに辛い治療を越えて夫婦の絆をいっそう深め、結果的
に望みが叶わなくても、二人で暮らす人生を充実させていこうと決
意する夫婦も多くいます。世の中の子どもを望むすべての夫婦が、
わが子を腕に抱く幸せを享受できるよう願ってやみません。
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